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小学生のための自然と環境教室 ー 昆虫(こんちゅう)を知ろう(4) ー
問題25の答えは、「はい」でした。
トンボは、水(みず)の中(なか)に卵(たまご)を産(う)みます。卵からかえった幼虫(ようちゅう)はヤゴとよばれ、水の中で生活(せいかつ)します。小(ちい)さな幼虫のときから肉食(にくしょく)で小さなミジンコを食(た)べたり、大きくなるとオタマジャクシやメダカなどの小魚(こざかな)も食(た)べます。
ヤゴがじゅうぶんに大きくなると、草(くさ)によじのぼって、幼虫の皮(かわ)を脱(ぬ)いでトンボの成虫(せいちゅう);親(おや)のこと)になります。成虫は、飛(と)びながら、カやユスリカ、そのほかの小さな昆虫をつかまえて食べます。
一方(いっぽう)、ヤゴは、もっと大きな肉食の魚(さかな)(ブラックバスなど)や、サギなどの水鳥(みずとり)の餌(えさ)となります。また、トンボは、カマキリやクモ、ツバメなどの鳥(とり)に食べられます。
このように、昆虫は、自然(しぜん)の中で、植物や、ほかの昆虫や動物を食べ、反対(はんたい)に、他(ほか)の昆虫や動物に食べられます。このように生き物の間(あいだ)には「食う食われるの関係(かんけい)」があって、生き物同士(どうし)でバランス(つりあい)が取(と)れて、1つの種類(しゅるい)だけが大幅(おおはば)に増(ふ)えてしまうということは起(お)こりにくくなています。
だけど、このバランスがくずれることもあります。たとえば、今(いま)、北海道(ほっかいどう;日本(にほん)の一番(いちばん)北(きた)の地方(ちほう))では、エゾシカが増(ふ)えすぎて、被害(ひがい)が出(で)ています。これは、エゾシカの数(かず)を減(へ)らす基(もと)となる、昔(むかし)いたエゾオオカミが絶滅(ぜつめつ)してしまったことと、もう1つは猟師(りょうし;けものを獲(と)る人)さんが少なくなったことがあります。また、このごろは、気候(きこう)が昔(むかし)とくらべて暖(あたた)かくなってきたので、冬(ふゆ)の寒(さむ)さで死(し)ぬエゾシカの数(かず)が減ったせいもあると考(かんが)えられています。
昆虫の世界(せかい)では、たとえば、コナガというキャベツの葉(は)を食(た)べてしまう害虫(がいちゅう)では、コナガにあまり効(き)かない農薬(のうやく)をまくと、その農薬に強(つよ)いコナガは生(い)き残(のこ)り、一方(いっぽう)、農薬に弱(よわ)いコナガの天敵(てんてき)がみな死んでしまいます。そうなると、コナガの数(かず)を減らす天敵がいなくなるので、コナガが大幅(おおはば)に増えてしまいます。
このように、生き物はもともと増えやすい性質(せいしつ)をもっていますが、食うもの、食われるものの関係の中で、数が増えるのが抑(おさ)えられています。だけど、なにかの原因(げんいん)で抑(おさ)える生き物が少なくなってしまうと、抑えられていた生き物の数がいままでよりも大幅(おおはば)に増えてしまうこともあります。
このような「食う食われる」という生き物のつながりを「食物連鎖(しょくもつれんさ)」といいます。